雑味を削ぎ落とした「琥珀色の宝石」。キュニエットがコンソメを出し続ける理由
フランス料理において、コンソメは単なる「スープ」ではありません。 それはシェフの技術、誠実さ、そして料理哲学そのものが投影される**「液体という名の結晶」**です。 北新地Cugnette(キュニエット)が、非効率と言われようとも一切の妥協なく作り続ける、コンソメの真髄についてお話しします。
■ 「完成された」という名の誇り コンソメ(Consommé)の語源は、フランス語で「完成された」「完璧な」という意味を持ちます。 牛のスネ肉、地鶏、数種類の香味野菜。それらを大量に使い、数日間かけてじっくりと旨味を抽出し、卵白を用いて一滴の濁りもなく澄ませていく。 数キロの食材から取れるのは、わずか数リットル。 この「贅の極み」とも言える工程を経て、雑味を徹底的に排除した先にだけ、あの宝石のような琥珀色の輝きが現れます。
■ 固形では辿り着けない「身体に染み渡る感覚」 市販の固形スープの素と、私たちのコンソメ。その決定的な違いは「余韻」にあります。 化学調味料や過剰な塩分に頼らず、素材のグルタミン酸とイノシン酸を丁寧に引き出したスープは、一口飲むとスッと身体に溶け込み、後味に心地よい香りの残像だけを残します。 「しっかりとした満足感があるのに、驚くほど胃に優しい」。 これは、私が常に提言している**「翌朝の身体の軽さ」**に直結する、キュニエットの原点です。
■ ソムリエシェフが教える、コンソメとワインの「共鳴」 コンソメの深い旨味には、実はワインが最高のパートナーとなります。 例えば、少し熟成の進んだ白ワインや、シェリー酒。コンソメの動物的なエキス分と、ワインの熟成香が重なり合ったとき、口の中で第3の香りが生まれます。 この「香りの重なり」をコントロールできるのは、料理人でありソムリエである私の特権だと思っています。
■ 料理の「誠実さ」を計る、究極の一杯 現代のレストランでは、手間がかかりすぎるコンソメをメニューから外すお店も増えています。 しかし、私はこのスープを作り続けます。なぜなら、これほどまでにシェフの技量が誤魔化しようもなく露呈する料理はないからです。 キュニエットのカウンターで、静かに運ばれてくるコンソメ。 その透き通ったスープに映る私の情熱を、五感すべてで受け取っていただければ幸いです。
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