【コラム】北新地で20年、私たちが「サーモン」という素材に問い続けること
本文 北新地の喧騒を離れた4階。2006年の創業以来、キュニエットの厨房で欠かすことのできない素材の一つが「サーモン」です。 一見、どこにでもある馴染み深い食材かもしれません。しかし、フランス料理の伝統的な技法と、現代の感性が交差する場所で、それは全く別の表情を見せます。
1. 「火入れ」という名の魔法 ── ミキュイの真髄 キュニエットが最も大切にしているのは、素材の水分と旨味を閉じ込める「火入れ」の精度です。 特に、フランス語で「半生」を意味する『ミキュイ』という技法。 単に生に近いだけではありません。中心温度を1度単位でコントロールし、表面はほんのりと温かく、ナイフを入れた瞬間にホロリとほどけるような質感。それは、家庭では決して辿り着けない、プロの料理人だけが表現できる「官能的な食感」です。
2. 自然派ワインとの邂逅(かいこう) 私たちのもう一つの主役、フランス産の自然派ワイン。 例えば、厚みのあるサーモンの脂には、力強いミネラル感を持つロワールの白や、少し温度を上げたジュラのワインを。 添加物を極限まで抑えたヴァン・ナチュールだからこそ、サーモン本来の清らかな脂の甘みと共鳴し、余韻を何倍にも膨らませてくれるのです。この「一皿と一本」の幸福な出会いをご提案すること。それこそが、私たちが北新地で暖簾を守り続ける理由です。
3. 旬を愛でる、大人のためのひととき
サーモンは、合わせるソースや季節の野菜によって、春には軽やかに、冬には濃厚に、その装いを変えます。
「今日はどんなワインと合わせようか」
そんな会話を楽しみながら、大切な方とゆっくり流れる時間をお過ごしいただく。コースを召し上がっていただく価値は、料理の味だけではなく、その「静謐(せいひつ)な体験」にあると私たちは信じています。
編集後記
北新地で長く愛されてきたクラシックなフレンチを、肩肘張らずに、しかし最高の一皿で。
今夜も、最高な状態のサーモンと、個性を放つワインをご用意して、皆様をお待ちしております。
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